小石の影にあったトンネル

突然起こった出来事に私はトンネルの前で立ち尽くしていました。
トンネルは小石の陰にあったとは思えないほど大きくて立派でした。
しかも・・自然にできた洞窟ではなく誰かによって作られた
人工物というのも不思議でした。
(これだけの大きさのものを誰が作り上げたのか・・? と)


入り口の両側には道を塞ぐかのように砕かれた石と鉄の残骸が転がっていました。
トンネルの奥は・・まっすぐな道が先のほうまで続いていました。


そのはるか先にぼんやりとした明かりが見えました。


多分・・そこがトンネルの出口になっていたのだと思います。
  ・・その先には何かがあるように見えました。
ただ・・私には 「トンネル に入ろう」 という気にはなりませんでした。
    トンネルの先に見える明るさが・・
    外の明るさに比べると比較にならないほどの鈍い光で
    興味を惹くものではありませんでした。
    (しかも・・なんとなく・・
     そこに行くことが神様の望みではないことが伝わってきました)



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トンネルの先に行く必要がないことが分かると
次に気になったのが・・


入口にある 石と鉄の残骸 でした。


最初見たときはトンネルの掘削工事で出てきた廃棄物かな・・と気に
ならなかったのですが・・
よく見ると・・ それが・・ 入口にあった何かの跡 だったことに 
気が付いたのでした。



「・・・?


 この跡は・・? 


 もしかして・・ 門? 


 門の跡・・ ?


 もしかして・・私が破壊した 門 の跡?・・ってこと?」



私の中では以外な展開でした。
私が見ていない文先生との戦いの最後がそこにあったことに。


神様が何らかの意図を持ってこの景色を見せてくださっていることは
理解できていましたが・・


あの最後の瞬間・・あまりの眩しさで目をつぶってしまい
見てはいない最後の光景・・


その残骸をここで見ることになるとは・・思いもしていませんでした。